少年の香気

セレブリティ、ディオ。

色っぽい。

無口に見えるディオが、真っすぐと自分の好きを言葉にする。ドキドキしてしまう。佇まいから声から言葉から、色気とあたたかさを感じる。自分のことをとてもよくわかっている人だ。

EXOディオには長く抱いてきた夢があった。成人してから探し求めていた100パーセントの香りを発見するということ！ディオはワールドツアーや『大丈夫、愛だ』の撮影で休む暇のないスケジュールの中で時間を作り実際の調香師となった。夢の香水を訪ねる少年は慎重に、真剣に望み続けてきた『少年の香り』の作成を試みた。








少年はひときわ澄んだ瞳を持っていた。ひげすら生えてくる青年のことを いまだ少年と見まごう秘密は、それにつきるであろう。そうしてこの少年の唇は動くたびに生まれたばかりの赤ちゃんのような柔らかな量感をあらわにする。

22歳の少年、ディオは透明な湖をたたえたかのような瞳にまぶたをかぶせ、そうして甘く言葉を紡ぐ。

「少年の香り、それが僕の作りたい香りです」

デビューと同時に記録を打ち立て、歴史を塗りかえたアイドル EXOのメンバー。 チームの一員としてアジアを縦横無尽に駆け回る男。最近では、毎週アジア各地を巡り大規模な公演を行っているために、ソウルが見慣れない町のように感じるというディオは清潭洞に向かい、ガリマールパフュームスタジオで少年の香りをくゆらせる。
『ウルロン』『中毒』を思い起こせば、その香りというのはきっと獣らしいムスク、大粒の汗が染み込んだ深みのある皮の香り。そうでなければと思うだろう。だが少年は澄んでいて、柔らかく、ふっくらと。そして甘いニュアンスが長く残る そんな真逆の香りが自分自身のであると述べてみせた。
 
ディオが経験したガルマール・オートクチュール（香水調香）プログラムは、メンターを申し出てくれたガリマールパフュームコンサルタントであり、取締役を務めるナム サンミ氏との対話から動きはじめた。ブラインドスメリングテストでは数多く並ぶ種類の香りを嗅ぎながらディオは懸命に自らの香りの好みを定めていった。香りを選別し、嗜好に結論を下すための真摯で厳しい姿ひとつひとつから、彼が自分だけの香水をどれほどに願っているのかが感じられた。


「香水が本当に好きです。いくつもの香りを試してみたんですが ぴったりこれだと思えたことはありませんでした。普段はDiptyqueのTam Dao※を使いますが100パーセント自分に合っているとは思えないんです。僕とそっくりな香水、今の僕をよく表現してくれるような そんな香水を常に探していました」

好きな食べ物、色、ライフスタイルまで細かく、広く好みを分析して、それから彼が探し求める香水を作っていく過程をガイドしていきながら下した結論は。心地よく暖かく、柔らかく、重くない香。色に例えるならば空の色、その中でも 夕焼け。それは成人男性の香りとしては柔らかく親しげな香りだ。


※Diptyque Tam Dao ⇒▲



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1．ブラインドスメイリングテストが行われている間、指導してくれたガリマール コリア、ナム•サンミ取締役。 好きな食べ物から色まで、さまざまな話をしていく間にディオの香水の好みも次第に明らかになっていった 

2．ビーカーを用いて香料を混合する

3．最終的に完成されたディオの香り『Le Parfume de Garcon』ディオが直接ボトルに詰めた 



*ルイ15世のための香水で有名なオートクチュール香水ブランド、清潭洞ガリマールでは誰もが自分だけのためのカスタム香水を作ることができる。





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「成人してから香水を使うようになりました。一般的に男性的と言われている香りのものには抵抗感があります。僕にはまだ似合わないからでしょうか、つけてもぎこちなくなってしまう」

フランス王室御用達の調香師であったジャン・ド・ガリマール卿がルイ15世のために調香したパフュームオルガンでは、128種類の香料がディオの選択を待っていた。本格的にベースノート、ミドルノート、トップノートの順に調香を始めよう。
１つの手順ごとに1つ香を入れるのではなく、少なくとも2つ、多ければ5種類の香りを組み合わせ、そのたびに起こる複雑な香りを鼻先に楽しみつつ　実際に自らの好みを引き出していく作業である。
香料ボトルを開くたびに常に広がる豊かな香りたちにくたびれる様子もなく、ディオはコーヒーの香りで嗅覚をリフレッシュさせるだけでその場を離れることはなかった。香りが重なり合う度、絶えず向かい合い慎重に。シダーウッド、アンバー、ムスク、リリー・オブ・ザ・バレーフラワー、ミモザアルデヒド。魅力的な香りの名前　それだけでディオの時は創り上げられていった。



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1．128種類の香料を選択する過程で、ディオはとても慎重だった。そのためらいは、彼が今までどのように自分だけの香りを求めていたのかを体現していた 

2．香料を一つ混ぜる毎にその時の香りをチェックするが、嗅覚が優れたディオは毎回微妙な変化を敏感に感知した

3．ブラインドテストに使われた香料の美しいを名前は知らない状態で香りを判断するのは思ったより難しいことだ














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ディオが思い浮かべるセルフイメージはどのようなものだったのだろうか。EXOのメンバー、ディオの個性とは。22歳、自由人、ドギョンスのとしての個性。または『大丈夫、愛だ』チャン ジェヨル（チョ インソン）の若かりしころ、さわやかなハン ガンウのもつ個性。
ディオは答える。「そのすべてが僕です。格好良く・・見えるときもあるでしょうが 普段はいたずらが好き、身近な青年です。映画を見て涙を流す純粋も持ちあわせています、それらの個性すべてをひとつの香水に込めてみたい」

忙しいワールドツアースケジュールの中懸命に時間を調整し、『大丈夫、愛だ』を通じ役者としての新しい経験をしている彼は、多彩な感情を一時に感じている最中であった。

「演技指導をきちんと受けていないんです。最初は本当に難しかったです。監督や、スタッフの方々は 『あなたが感じる通り、あなたらしく演技することが答え』と言ってくださいます。おかげで心が楽になったし、演技が本当に面白く感じられました。機会さえあればこれからも続けていきたいです！」


幸せな門出を祝う記念のような『少年の香り』がついに完成した。平たいものと細長いものとでディオが選んだ細長い形状の香水瓶に香水が入れられ、ロットナンバーと香水の名が記されたディオだけのラベルも作られた。10日から2週間の熟成期間を経ると、この日ディオが調香した100パーセントの香りが完成される。今はまだ　香りが複雑に織り交ざるだけの未熟な香りだが、彼が願い　香水に込めた彼自身の姿が、どのようなものであったかは十分に感じとることができた。それは澄んだ湖を弾く あたたかな綿雲のような香りであった。澄んだ瞳を持つ少年のやわらかな香り、それがしばしの間ガリマールパフュームスタジオいっぱいにふわりと浮かび 漂っていた。