にんぎょ

にんぎょ　は　うすあおい　からだの　

しまもよう　で　はなしをする
あさひ　の　なかで

うすむらさき　に　ひかる　ことばや
あいさつ　の　けはい
あいさつ　が
すきとおったかいすい　を　しずんでいくと
にんぎょ　は　うすくれない　になる

うつくしい
あい　の　いみの
もよう　は
におい　のように　ただよい

もよう　は　もよう　をよび
にじ　のように　かさなる　と

うすあおい　しまの　にんぎょ　と
うすくれないの　にんぎょ
は
あたらしい　
もようになりながら
みずみずしい　はだ　と　はだ　に
ゆめのはなし　を　はじめると
　
ゆめは　もように　ゆらめきながら
なみま　に　しずんでゆき
いみ　も　しらないのに
なみは　ゆめにゆらぎ
なみは　もようを　ゆりかえしながら

すずしい　みず　をくぐり
ゆめのはなし　が　つづいていく　と

うみのそこの　ほのあかるい
すなのうえに　よぎる　うすくれないの
にんぎょのかげは　うすあおく
うすあおい　にんぎょの
かげは　うすくれないに

にんぎょ　は　うすあおい
からだの　しまのもようでゆめのはなし

「そのとき
あじさいのはな　が　さいていて
あなたは　そのまえにくると
しだい　に　すきとおってしまって
あなただけ　に　なってしまって」

にんぎょ　は　うすくれないの
からだの　しまのもようでゆめのはなし

「あさ　すいよく　を　していると
ことばが　みんな　ながれてしまい
きがつくと
わたくしは　もう　あなたに
おはなしもできなくて」

ゆめの　はなしの　かげを
さかなのむれ　がよぎっていくと

もよう　は　ゆめから　かえってくる
うすくれないのもようは
ふくよかな　いろとなり
うすあおいもようは
まぶしいいろのもようとなり

もよう　は　しめり
ことば　は　うるおう　と
やがて　しずかに　ふれあい
かさなりあう
みずみずしい　はじらいのはだは
ときめく　はだの
みずみずしい　もよう　に

 

川崎洋/はくちょう

 

 リブログ